ウラジオストクの名物のファストフードは、キャベツ、ひき肉とコショウの中身の蒸しパン(蒸し饅頭)「ピャンセ」です。ピャンセは、遠くからでも見える緑色のエプロンを着た行商人が街で保温容器から取り出し売っています。ピャンセというのは、昔からあった韓国料理のロシア風バージョンで、1980年代末ごろサハリンのホルムスク市の朝鮮系の人が作り始めたものです。熱いスパイシーなピャンセは、ロシアのパイとクレビャーカ、シベリアのマントィとポーズィー等、中身入りのパン(饅頭)の仲間です。ポイントは、アジア風のエキゾチックなことだけではなくて、ホットドッグ、ハンバーガー、揚げパンと違って、焼いたり揚げたりするのではなくて、蒸す料理なので、割と体にいいです。
1990年代初めごろピャンセが初めてウラジオストク(1990年8月に、「夜のウラジオストク」新聞にピャンセのレシピが初めて掲載された)と他の極東地域に登場して、だんだんシベリアにも広がりました。最近、極東地域の出身者がモスクワでピャンセの製造販売を始めたそうです。でも、ピャンセはあくまでも極東地域ならではの料理です。各地域は、独自のピャンセのレシピを持っています。キャベツの替わりにニンジンを使ったりして、サハリンでは、なんと、キムチ入りピャンセもあります。ウラジオストクのピャンセは、キャベツと肉とスパイスが入っていて、これが本当のレシピだと思われています。しかし、ちょっと変わったバージョンも次々と現れたりします。例えば、2015年に、プロテイン入りピャンセのレシピがニュースになりました。