ウラジオストク郊外にあるレストラン「レスナーヤ・ザイムカ」は、ソビエト共産党書記長レオニード・ブレジネフとアメリカ大統領ジェラルド・フォードの会談のために1974年に建設されました。
開店以来、ソビエトのグルメのあこがれの場所、極東地域の獲物・産物を中心にした食文化の里とウラジオストクならではの料理店として発展し、ペレストロイカの後でもステータスを保つことができました。ここのお客さんには、北朝鮮の金正日、シンガポールの李顯龍首相、ロシア政府のメンバーと様々な有名人も含まれています。
お客さんがまずインパクトを受けるのは、レストランのデザインです。建物自体は、素晴らしい木造建築物です。2012年に、外装も内装もリノベーションされ、シベリアカラマツの丸太(直径30センチ)を使って建て直されたと言ってもいいぐらいです。現在の建物は、17世紀のロシアの木造建築様式と、スターリン時代の帝政様式の近代的なバージョンを組み合わせたものです。
メニューのポイントは、狩猟の獲物の肉、タイガのハーブと果実、現地の農産物等、地元の名物です。レストランは、沿海地方のハンティング場と協力して、クマ、シカ、ヘラジカ、イノシシ、エゾライチョウ、ウズラ等、獲物をどんどん使っています。料理は、どちらかというと、男性が好むようなしっかりとした食事が多いです。名物の料理は全部ソ連時代の規格に適合したレシピ通りに作られていますが、サボテンと霜降り牛肉サラダや、コアントローソースと果物をかけたエゾライチョウ等、現代的な多国籍料理もあります。
「レスナーヤ・ザイムカ」の独特な木造建築物は、ロシアのもてなしの習慣、ソ連時代のエリートの贅沢な生活、本格的なロシア料理と最新の流行がひとつになった空間になっています。モスクワの地下鉄または「ナショナル」ホテルのように、感動とちょっとドキドキさせる所です。