沿海地方のダイビング

無限のチャンスの海

ヨーロッパロシアのダイビングが好きな人の間では、「日本海は冷たくて、海底には何もなくて、ダイビングに向いていないし、ウラジオストクまで行くのももったいない」という考え方が一般的ですが、これは間違っています。統計データを見ると、日本海には魚が603種類、海底無脊椎動物が2000種類以上います。それに比べて、暖かい黒海には、魚がわずか166種類、海底動物が791種類しかいないのです。ロシア国内のダイビングスポットを比較すれば、一番勉強になるダイビングスポットは決してクリミアではないのです。

沿海地方では、南のハサン町から北のルードナヤ・プリースタニ町まで、どの海岸でもダイビングが可能です。そして、この幅広い地域の中、海の環境は場所によって全く違います。サハリンから来る寒流と韓国の済州島の方から来る暖流が混ざって、熱帯と寒帯の出会う環境が生まれます。例えば、夏には、ハサン地区の南部のスラビャンカ町の辺りでは、水深15メートルでの水温が20度に達することもある一方で、同じ時期のヴラジーミル湾の水温は3度ほどにすぎません。もう一つの例を挙げると、ウラジオストク市には、10年以上営業しているダイビング道具の専門店が5店舗以上あります。つまり、需要があるのです。多くのダイバーが狙っている場所は、ハサン地区の極東海洋自然保護区ですが、そこは入場許可が必要で、手続きが難しいです。しかし、自然保護区以外にも素晴らしい場所が何か所もあります。アザラシでさえ、自然保護区の境界を気にせずに、ウラジオストク市内に現れたりします。自然保護区にあるアンティペンコ列島の向こうには、快適なホテルがあり、このホテルの前にあるコンクリート岸壁からダイビングすると、すぐ6~8メートルの深さまで潜ることができ、自然保護区と同じ環境を目の前で見られます。そこには、サンゴの仲間であるイソギンチャクやホヤ属、人気シーフードのナマコ(茶色いのが最も一般的ですが、色は海底のミネラルによるので、青いのも、緑色のもある)がいます。ナマコは汚染が大嫌いで、重油からはもちろん、ビニール袋からも同じように逃げてしまうので、「ナマコがいるところは、環境が汚染されていない」と考えられます。また、ナマコの仲間であるキンコも、ヒトデに狙われて逃げようとしているホタテもいます。もし運がよければ、うっかりしたタコの足を見られるかもしれません。でも、気をつけて。足を引っ張らないようにしてくださいね!マスクと水中呼吸器を奪われてしまう可能性が高いです。

ルードナヤ・プリースタニ町の出身。極東海軍大学の卒業生で、元一等航海士。現在は水中撮影のプロ・カメラマンであるアンドレイ・シュパルタック氏は、「初めて水中呼吸器付きダイビングをしたのは1977年の夏です。それ以来38年間ずっと同じ場所で潜っているのです。ルードナヤ・プリースタニから北の方へも南の方へも20~30マイルの範囲で全てのスポットを回ってきました。日本海というのは、熱帯の海のようなところではなく、一回では教科書の写真のように全ての生物を見られないのです。日本海には、魚が600種類ぐらいいますが、私はダイビングをしている間、その半分しか見ていません。ここの海は、すぐに自分の謎が解けるわけではなくて、その謎に惹かれ、ここにいる生物を少しずつ探っていき、ステップ・バイ・ステップで研究すれば、海の美しさが理解できるようになります。だからこそ、日本海の水中撮影の世界は無限のチャンスをもっています。しっかりと見れば見るほど素晴らしい出会いがあります」と述べています。

歴史を対象にしたダイビングはまた別の話です。ウラジオストク市内の海域にあるスクルィプレフ島付近に、日露戦争時代の番号付き水雷艇308号が1904年に日本の水雷に引っかかり、沈没したままです。深さは32メートルで、水流も複雑で、変温躍層も予想され、うまく行かない可能性も高いですが、現在の魚雷艇と高速艇の先祖である船を実際に見たり触ったりすることができるのはここだけです。博物館に行っても、普通は図面しか見られません。カラムジーン島沖に、日本の駆逐艦「響」とロシアの輸送船「インディギルカ号」が沈没したままです。1970年代に、太平洋艦隊の襲撃機がこの船を訓練の時に標的として使っていましたが、非鉄金属を収集している人による損害は受けていません。深さは27メートルで、遊びのダイビングに最適です。船のプロペラの羽根は50年前と同じような様子をしていて、水中のセルフィーの最高のスポットになります。ちなみに、ウラジオストクの観光スポット「潜水艦C-56」に関する、ロシアの有名なテレビアナウンサー、セルゲイ・ブリリョーフによるドキュメンタリーのロケの一部はここでした。好奇心を持ったダイバーにとっては、あくまでもビジネスの対象となっている紅海やプーケットよりも、謎とミステリーに満ちたここの海の方が興味深いのではないでしょうか?

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