ウラジオストクではお菓子も海なくしてはできません。株式会社「沿海製菓」の出すお菓子には、海の塩の結晶(ざくざくとした食感があります)や海藻のチップを加えたチョコレート銘菓があります。塩と海藻入りのチョコレートは最近できたものですが、沿海州の製菓業は海なくして語れません。1967年、ウラジオストク製菓工場では、小売部熟練職人アンナ・チュルコワが率いる職人たちが、「鳥のミルク」というオリジナルの菓子のレシピを考案し、ソ連の最優秀菓子の栄誉を勝ち取ったほか、その自動製造ライン技術が配備されるに至りました。この業績でアンナ・チュルコワはレーニン勲章を授与されたほか、社会労働英雄の称号も与えられました。数年前にはウラジオストクの名誉市民となっています。それ以来、地元の「鳥」は沿海地方の食品としては一番のお土産になっています。ウラジオストクを出てモスクワやほかの都市に移住した人たちも、1箱,2箱でも持ってきてほしいと地元の人たちにお願いするようなお菓子が「鳥のミルク」です。沿海地方の「鳥」の秘密は、(当地で作られるゼリーキャンディーもそうなのですが)寒天が使われているというところなのです。このお菓子は「生もの」で、14日間しか持ちませんが、期限が来る前に食べ切れてしまいます。数年前、モスクワの菓子製造業者が必要な商標を先に登録してしまい、沿海地方の工場は「鳥のミルク」という名称を使う権利を失いました。現在ではこのお菓子は公式には「プリモルスキエ(沿海地方の)」というのが名称ですが、一般では昔と変わらず「鳥のミルク」と呼ばれています。そして、パッケージの鳥の絵もそのままです。