文:アンドレイ・ハウストヴ; 撮:ヴャチェスラヴ・トクタムィーシェフ
沿海地方の時間帯は「ウラジオストク時間」で、グリニッジ標準時間からは10時間、モスクワとは7時間の時差があり、ロシアではMSK+7と表示されます。東京と比べた場合、ウラジオストクは1時間早く目覚めます。
沿海地方には、モンスーン気候のおかげではっきりとした四季の移り変わりがあります。夏は蒸し暑く、冬は寒く乾燥しています。ただ、こう一言では片づけられないのが実際で、南北に広がっていること、シホテアリニ山脈が沿海地方を東西にいびつに分断していることから、沿海地方各地にそれぞれの気候や季節上の特徴があります。
それぞれの季節は海洋に大きく影響されており、沿海地方南部と東部では春は長く、風が強く曇りの日が多くなります。夏と秋の訪れは遅く、冬は内陸から寒い風を連れてくるモンスーンの影響で、緯度が低い割には寒くなります。 沿海地方の人々は、「緯度はクリミアで、経度はコルィマ(註:厳しい気候条件と流刑地として有名)」と冗談めかして言います。
-15 … -5 °C
沿海地方の本格的な冬の到来は12月の中旬になります。マイナスの気温が続くようになり、湾が凍り始めると、地元の人たちが楽しみにしているお祭り「冬釣りフェスティバル」がもうすぐです。
冬のウラジオストクにお出かけの際は、暖かいコート、帽子、手袋が必需品です。沿海地方南部では冬は風が強く、中部では厳しい寒さに見舞われます。沿海地方の首都では降雪はほぼないのですが、何度かは雪が降り、暦の上では春になってからもあります。3月に雪が降ることもしばしばですが、すぐに溶けてしまいます。
-5 … +15 °C
沿海地方の春は、楽しげに雪が溶け気温がプラスに転ずる2月の終わりから3月のはじめにはじまりますが、あまり優しい季節ではありません。太陽が顔を出す暖かい日が続いたと思ったら、肌寒く、雪や雨が降り、しみるような風に天気が変わってしまいます。タイガの河川は5月のはじめごろまでにようやく氷から解放され、わずか一週間で木々は緑の葉を身にまとい、タイガ中を「緑の嵐」がかけめぐります。
この時期の天気は、沿岸部と中心部の差が大きくなり、沿岸部では海のおかげで冬は比較的過ごしやすい代わりに、寒い霧と小雨が続きます。一方、内陸側に30-50㎞行くだけで、5月の中旬にはもう夏が真っ盛りになっています。
+15 … +32 °С
沿海州中部では夏は5月の中旬にはじまりますが、ウラジオストクでは季節の変わり目が長く、7月のはじめや、時には中旬まで続きます。それも気温としては快適なのですが、海が冷たく、霧や小雨がちな天気で、本格的な夏の到来の前の準備期間が長すぎるのですが、最後には偉大なる8月が登場します。
沿海地方の8月は、名称からも言えるように、神聖なると言っても差し支えないほどです。地元の詩人は「永遠なれ8月!」と詩や歌にうたいます…太陽は輝き、温かく優しい海。大陸側沿岸、島しょ部のビーチは、極東全土からやってくる海水浴客でいっぱいになります。ウラジオストクではフェスティバルやイベントの大部分が8月に行われます。
+25 … +15 °C
極東南部の秋は、ビロードの季節です。浜辺でゆったりとした波の音を聞きながらまどろんでいた夏が時間がたつのも忘れ、さわやかな風に起こされて砂時計を見たら、もう9月も後半になっていたことに気がついた といった様子です。
空気はすっきりと澄み、ウラジオストクから、普段は霧で隠されているエフゲニヤ群島やペスチャヌィ半島がよく見えます。紅葉の季節とともに、沿海地方に10月がやってきます。10月前半の2週間で、タイガの美しさは雄大かつ壮大で、息をのむほどの素晴らしさを見せるようになります。その色合いは言葉には到底表せず、秋の沿海地方の美しさを表現することはとてもかないません。無論、秋は最高の季節だといえるでしょう。