外国人のウラジオストク滞在をロシアの有名な決まり文句で表現すると、「ごゆっくり過ごしていても、決して外国にいるということを忘れないように」と言えます。安全はどの旅行にとっても大事な前提です。滞在中に楽しいことが起こることを願いながら、ウラジオストクへの旅を企画する日本人のために、日本の外務省によって発行された安全マニュアルを記載しておきます。
「当地は日本と地理的に近接しており、経済的・人的繋がりが強いことから、一般的な対日感情は良好といえます。特に反日的な行動は見られず、民族的・人種的な理由で邦人が狙われる事件も発生していませんが、総じて犯罪発生率は高く、治安水準が良いといえる状況ではありません。当地に滞在する邦人の皆様方に、海外における安全意識を今一度高めていただきたく、この「安全の手引き」を作成しました。
平成 26 年の沿海地方における犯罪発生率(人口 10 万人あたりの犯罪件数)は 2,508 件で全ロシア平均(1,507 件)の 1.66 倍であり、83 連邦構成主体中第 4 位(2013 年)の位置を占めている(1 位はザバイカル地方、モスクワ市は 38 位)ことから、今後とも十分な注意が必要です。
日本人が被害に遭う主なケースとしては、強盗、恐喝、スリ、置き引き等が多く、夜間の徒歩での移動・危険の伴う場所等への出入りは厳に控えるべきです。できるだけ複数で行動し、周囲を意識するように心掛けて下さい。市内における写真撮影に特段の問題はありませんが、鉄道、空港施設、警察官や郊外にある軍事施設を被写体とすることは避けたほうがよいでしょう。
防犯の基本的な心構え
- 夜間の一人歩きは絶対に避けて下さい。
- 貴重品はバッグではなく上着の内ポケット等に入れて確実に携行し、必要以上の現金は持ち歩かないで下さい。やむを得ない場合は、腹巻きや靴下内に納めるなどの工夫も必要です。財布、旅券等の貴重品をズボンの後ろポケットにしまったり、リュックサック内に収納して背負うことは非常に危険です。
- 買い物や両替の際には、必ず周囲の目があることを念頭に置き、人前で財布の中身が見えるような行動はとらず、現金は分散して所持するように習慣づけて下さい。また、街頭において両替(いわゆるヤミ両替)を勧めてくる者がいても、違法行為ですので絶対に避けて下さい。
- 列車内や飲食店で見ず知らずの人から飲み物を勧められても、安易に応じないで下さい。
- 服装や装飾品、所持品だけではなく、買い物の質や量、平素の言動及び態度等、生活全般において必要以上に『目立たない』ようにすることが肝要です。買い物先で衆人環視の中、たくさんのお金を数える等の行為は、周囲の犯罪意欲をかき立てます。
- 自宅や自動車の鍵の掛け忘れ、貴重品の置き忘れ、火の元の始末確認等、日常の基本的な注意・警戒を『忘れない』ように心掛けて下さい。
- いかがわしい場所、暗がりや人通りの少ない場所等、危険と感じる場所には『近づかない』ことが大切です。
- 当地のホテルは、設備、サービス共に向上していますが、宿泊者を狙って窃盗事件が発生することも考えられ、安全な場所とは言い切れません。当地滞在中は、少なくとも以下の点に留意して防犯対策を講じるようにして下さい。
- たとえ知人が尋ねてくるという予定があったとしても、訪問者を確認せずに安易にドアを開けることは絶対に避けて下さい。ドア・スコープの設置されていないホテルも存在しますが、ドアを開ける前に相手を確認することを忘れず、普段から施錠を徹底するように心掛けて下さい。
- 外出する際、室内に貴重品を置いたままにしておくことは危険です。貴重品はフロントに預けるか、常に身に着けておくようにして下さい。
- クレジットカードは当地でも利用できますが、カードの番号や有効年月日等を盗み見てこれを悪用する犯罪や、カード内のデータをスキミングされる被害にあうおそれもあります。カード利用の際は十分に注意して下さい。
- 列車、バス等の公共交通機関ではスリに遭う可能性があります。自らの視界が届かない場所に物を置かず、バッグ等は抱え込むようにして持つことを心掛けて下さい。
- 通行人に声を掛けられても安易に話に乗らず、ついて行かないようにして下さい。
- 携帯電話の盗難、ひったくりが多発しています。特に、携帯電話をかけながらの歩行は標的になりやすいので避けて下さい。
被害を受けた場合の措置
事件の態様により対応は異なりますが、当館では被害事実を把握した上で、状況によっては当局への申し入れや本邦親族への連絡等の援護措置を執ることができますので、可能な限り当館領事班までご連絡下さい。その他の基本的な対処要領は以下のとおりです。
- 現場保存の観点から被害場所にはなるべく立ち入らず、速やかに警察に通報する。
- 負傷している場合には救急車を手配する。
- 犯人を目撃した場合には、単独で追跡することは避け、被害時の状況や犯人像をできる限り詳細に記録しておく。
- 犯人が遺留したものには手を触れない。
- クレジットカードの盗難に遭った場合は、直ちにカード発行元に連絡する。
- 自宅や自家用車の鍵が盗まれた場合は、直ちにその鍵を交換するなど、二次被害の防止に努める。
- 警察の事情聴取に際しては、知人の同伴及び通訳を確保する。
- 旅券を盗まれた場合は、警察から盗難届出証明書を発行してもらった後、当館において再発給又は帰国のための渡航書の発給手続きをとる。
逮捕・拘禁された場合の措置
万が一、事件・事故に巻き込まれて、逮捕、拘禁された場合には、「当局の措置に対して直ちに日本国総領事館に通報する」ように要請して下さい。これは「領事館通報」といい、両国間の領事条約に規定された権利です。領事館通報を受けた場合、当館では次のような援護を行います。(1)会社や招へい者(身元保証人)、家族等への連絡(2)当局からの事情聴取(3)本人との面会(4)被拘禁者の正当な権利の確認(5)差し入れ、弁護士や保釈金等についての伝達(6)裁判、刑の執行等について心得や通知。
滞在登録(レギストラーツィヤ)
外国人が同じ場所で7労働日を超えて滞在する場合、その滞在地で滞在登録を行うことが義務付けられています。ホテルに宿泊する場合はホテル側が手続きをしますが、友人宅等に宿泊する場合には住所地を管轄する郵便局又は移民局地方機関に対し、受入側を介して通知することとなっています。なお、ホテルで手続きする場合は、ホテル側に旅券を一晩預けることが多いため、必ず旅券を受領するようにして下さい。また、ホテル側のミスで手続きされていないというトラブルも発生していますので、必ず確認するようにして下さい。
詳細な安全指示は、在ウラジオストク日本国総領事館のホームページをご参照下さい。