「ウラジオストクと私」
在ウラジオストク日本国総領事館
元総領事(2003年-2005年)
丸尾 眞
略歴
丸尾眞氏は1949年に東京で生まれ、東京大学中退後、1975年に外務省に入省しました。ロシアでの外交官勤務歴は、1979年(在ソ連日本国大使館二等書記官)、1989年(在ロシア日本国大使館参事官)、1999年(在ロシア日本国大使館公使)、2003年(在ウラジオストク日本国総領事館総領事)と4回もありました。ウラジオストク滞在中、丸尾総領事の存在は非常に華やかで、元気よく活発で、市民の思い出に残っています。今では毎年開催されるウラジオストク・ジャズ・フェスティバルは総領事のイニシアティブで発足しました。丸尾氏のウラジオストクに対する友好へのお礼として、地元のマスコミによって報道された丸尾総領事の送別スピーチの引用をここに掲載します。

都市、その市民や教育のレベルについて
「ウラジオストクに来て初めての取材の際、街の最初の印象について聞かれました。その時は着いたばかりでまだはっきりしたことは言えませんでしたが、ウラジオストクがきっと気に入るという確信を述べました。そしてそのとおりになりました。市民はオープンで非常にインテリであると感じました。私の大好きな作家のシュテファン・ツヴァイクは日本ではあまり知られていないですが、ウラジオストクでは彼について話が出来る人がたくさんいました。このことは非常にうれしいことです。」
男性について
「ウラジオストクの男性が運転する時の態度は、非常に男らしいです。危険と思われる状況においても、クラクションを鳴らさず、慌てないということは、精神の安定性や忍耐強さを示していると思います。」
女性について
「ウラジオストクの女性はとても綺麗です。今年の『ミス沿海地方』美人コンテストの会場に来ていた人はほとんど女性でした。そこでスピーチを求められ、有名な作家のシモーヌ・ド・ボーヴォワール女史の言葉「女性は、女として生まれるのではなく、女になるのだ」を少し変えて、「女性は、美人として生まれるのではなく、美人になるのだ」と述べたら皆喜んでいました。人間は心が善良で優しければ、内面の美しさによって外面も綺麗になります。大事なのは外面的な美しさではなく、内面的な美しさです。この意味ではウラジオストクの女性は皆美しいです。」
正確性と確認の必要性について
「ウラジオストクでは日本語の学習者数が2千人以上います。これらの学習者は街の宝で、知識のレベルが非常に高いですが、問題もあります。ロシア人、特に極東の人は直感と理解力が良く発達して、相手が述べていないことも想像して、意味を察知することがあります。しかし、時にはそれが逆効果になることもあります。日本語の学習者には、意味が分からなければ、勘に頼ることなく、確認することをお勧めします。あるアメリカのゴルフの先生は、「知ることは、推測するより良い”knowing is better than guessing”と述べています。面倒でもグリーンまでの距離が書いてある場所に行き、正確な距離を確認すべきで、勘に頼ってはいけないということです。」
日本におけるウラジオストクの一部分
「私のウラジオストク滞在中にお世話になった多くの人が、ウラジオストクに残っています。ウラジオストクとゆかりのある人、また興味のある人のために、日本でウラジオストク会を設立することにしました。日本においてウラジオストクのことをより広く知ってほしいと思います。」
ウラジオストクの展望について
「この街と沿海地方が発展し、ウラジオストクに多くのオペラ、バレエ、ジャズ・クラブ、カフェがオープンされたらいいと思います。ジャズ・フェスティバルがいつかこの都市の象徴になることを期待しています。観光客として再び来訪して、新たなウラジオストクで友達と会うことができたらいいな、と夢見ています。」
ブリッツ・インタビュー
  • 丸尾さん、ウラジオストクのどこが一番記憶に残っていますか?
  • 「ベルサイユ」ホテルの前にある歩行者天国を散歩するのが大好きでした。
  • ウラジオストクで別れるのがつらいことが何かありますか?
  • ウラジオストクの人々をきっと思い出し、また会いたくなるでしょう。